そうまでして伝えたいことがある――千葉詩亭 第45回、ありがとうございました。

リハーサル前、かわいいアルファベットに癒される
先日4月16日(日)、声と言葉のオープンマイク「千葉詩亭」第45回(告知エントリはこちら)にゲストとしてお招きいただき、30分間のパフォーマンスを務めました。主催の大島健夫さん、山口勲さん、会場のTREASURE RIVER BOOK CAFEのスタッフの皆さま、当日お運びいただいた皆さま、お心にかけてくださった皆さま、ありがとうございました!
Photo by Rain Michiyama
<セットリスト>
1. 短歌連作 花かんむりになれなかった花たちのために
2. 卵を焼くことについての4つのエピソード(*)
3. きりんの卵
4. 海のエスキース(*)
5. 石畳と秋の蝶
6. 俳句連作 角度を悩む冬帽子
7. 早春の広場
8. ヘイズバラの海岸にて
9. ハクモクレン抒情(*)
10.本を冷蔵庫に入れた話(*)
(*)はオンビートのリーディング
私の手許(足許?)に残った短歌と俳句たち
卵の詩が2篇もあるのと、4月16日がイースターであることとは特に関係ないと思います。

千葉詩亭は、ことし2017年で8年目を迎える定期開催のオープンマイクです。都内のライブハウスで行われるオープンマイクとは一味ちがった雰囲気がとても好きです。穏やかな空気感ながら、妥協したり慣れあったりしない場でもあります。

共同主催・大島さんによる当日のレポートはこちら。ありがとうございます。

リーディングの時間が3分だろうと30分だろうと、オープンマイクだろうとゲストパフォーマンスだろうと、マイクの前に立つと膝ががくがくするのは未だに変わりません。それは緊張ばかりではなく、「こうまでして私が伝えたいことって一体なんなんだ?」という問いに常にさらされているからなんじゃないかと、最近思います。

上のリンク先のレポートで大島さんがこう書いています。
ポエトリーリーディングというのはシンプルな表現形態ではありますが、同時に恐ろしいものでもあります。当たり前のことですが、マイクの前に立つということは、これすなわちその人そのものが、一人ひとりの受け手の心という、パフォーマーの側からは垣間見ることのできないブラックボックスを通して「見られ」「判断される」ということです
わたしには、語りたがり・目立ちたがりな部分は多分にあると自覚しています。
人前でリーディングをすることは、その欲求に応えてくれるものではあるけれど、それ以上にある種の「怖さ」のほうがまさって感じられることのほうが、もしかしたら最近は多くなってきたかもしれません。それは、舞台上でテキストが飛んでも誰も助けてくれない、ということ以上に深くにある怖さです。

「どんな時(季節、時間帯、同時代の社会情勢も含む)」「どんな場所で(地域・会場の空間)」「どんな人たちの見ている前で(どんな背景や考え方をもった人がいるか)」、わたしが「どんな詩」を読むか――自分で書いた詩を読むにせよ、他の人が書いた詩を読むにせよ、リーディングという営為自体まるごとが、わたしの価値観や倫理観を、受け手の心を通じてさらけ出すことになると思うのです。もはや、「作者本人の内面とテキストはすっぱり切り分けて考えましょう」とばかり言ってもいられない。パフォーマーと受け手の身体が同じ時間と場を共有しているかぎりは、なにか逃れがたい力がはたらいているような気がします。
千葉詩亭限定ブックレット「ポエトリーのおもちかえり」
そんな危なっかしい、怖い表現手段をとってまで、そうまでしてでも「伝えたいことがある」という感覚があるのはなぜなのか、自分のことながらなんだか理解しがたいことです。
しばらく答えは出そうもないので、いったん「そうまでして伝えたいことは確かにあるんだ」と認めることにしてみました。そして、認めるからには今のわたしがもっている言葉やイメージ、まだうまく名前のついていない気持ちをなるたけ全部、詰め込んでやってみようと思ったわけです。
そのうえで、わたしのやりかたで誰かの心をゆさぶる可能性があるのだ、という感覚をつかめたのは、素直に、うれしいことでした。
by Kuriko Maeki
まだまだ考えたいこと、向き合いたい課題はたくさんありますが、まずは心から御礼申し上げます。
ありがとうございました。今後も精進してまいります。

千葉詩亭アフターアワーにて
わたし「30分間リーディングしただけでくたくたです……1時間とか2時間とかやれる人すごい……」
URAOCBさん・あしゅりんさん「ここに24時間朗読ライブをした人がいるよ
わたし「うわあああああああ

終演後にいただきました。「牛肉と豆腐の玉締め丼」。ここにも卵。
次回の千葉詩亭・第46回は6月18日(日)とのことです。スペシャルゲスト、吉岡あしゅりんさんをお見逃しなく!


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